抜け毛の被害を防ぐ
●抜け毛の原因は季節感の狂い
犬種により差がありますが、抜け毛は嫌なだけではなく人間の健康にも影響を与
える厄介ものです。抜け毛の最も大きい要因がアンダーコート(綿毛)の増減機能の低下にあります。体毛のない人間は気温変化を衣服と空調で調整していますが、体毛のある犬は柔らかいアンダーコートの量で季節を調整しています。この違う気温調整を持つ愛犬と飼い主が同じ屋根の下で暮らす場合、飼い主の気温調整に犬が合わされることになります。この結果、犬の持つ温度調整のひとつであるアンダーコートの増減機能が大きく狂ってしまいます。外気ではなく住まいの気温に過敏に反応する結果、アンダーコートの増産と脱毛を1年中くり返してしまうため、膨大な量のアンダーコートを家中にまき散らすのです。
犬と名称が変わる以前は、数百万年以前から寒暖差の厳しい内陸北部で暮らしてきたため、冬は大量のアンダーコートをまとい、暖かくなる春にはアンダーコートを一気に脱いでいましたから、他の季節ではほとんど抜けませんでした。
このアンダーコートの増減機能を正常化させる方法は、外気の変化に犬を慣れさせることです。抜け毛で困っているのは室内飼いの犬ですから不可能に思えますが、秋のおとづれから冬の始めの期間、犬が暮らす場所では暖房を一切しにことです。一見、犬に厳しい試練と思われますが、犬は高性能な褐色脂肪組織を持っていますから、気温の低下に合わせて徐々に活性化されるため、寒い思いはさせないで済むのです。一旦慣れれば、犬の体温調整を司る褐色脂肪組織は活性化されるため暖房された部屋にいてもアンダーコートは抜けることはありません。また、褐色脂肪組織が活性化されていれば雪のふる外にでても対応できるようになるのです。また、寒さの穏やかな日本では褐色脂肪組織の働きによりアンンダーコートを冬季限定で、少量しか生産しなくなるため効果を加速させます。
季節の外気に順応させると褐色脂肪組織が活性化するため、抜け毛が大幅に減少すると共に、どんな寒さでにも対応できるのです。
もう1つの要因が皮膚から毛根、皮毛などの栄養素不足からくる脱毛です。ドライのドッグフードは穀類が主体のため、肉食動物に必要な栄養素を添加物で補っていますが各細胞代謝に必要な栄養素はきわめて多彩なため不足する栄養素が出てきてしまいます。結果、皮毛自体だけではなく皮膚や毛根も弱くなるために脱毛を加速させるのです。皮毛に必要な栄養素をバランス良く配されているのが動物性の食材です。食餌の欄に記しているように動物主体の食餌に変えることで、皮膚や毛根が強化されるため、栄養からくる脱毛を減少させます。
これらの施策を適切に行うと、犬種により脱毛を10分の1から100分のに激減させることが出来るのです。
詳しい方法は書籍「ワンちゃんの長寿化マニュアル」の2.食餌と3.環境を参考にしてください。
皮膚や皮毛に不足する栄養素が多く含まれている食材は軟骨や皮革です。写真は軟骨を主体とした食餌